エーデルワイスではこれまでに40名を超えるスタッフが海外研修制度の下、ベルギーを中心にヨーロッパ研修を重ねています。
今回、2024年4月11日(木)~23日(火)にこの研修制度を利用してベルギー・ブリュッセルとフランス・パリに行かれた早田シェフと置山シェフ。
現地で見たこと、学んだこと、日本に持ち帰りたいことなどなど、広報室杉本が色々と伺い、たくさん語っていただきました!
※この回は後半です。ぜひ前編からお読みください!
1.現地での印象的なお店
早田:パリでの4日間は事前に下調べをしておいたパティスリーとショコラティエを時間が許す限り、見て回りました。パリでは53軒回り、そのうち46軒で実際に購入しました。ベルギーでも18軒回りました。
その中で印象的なお店はありましたか?
早田:特にNina Métayerは印象的でした。
ホテルのシェフのデザイナーのようなことをされていた女性の方です。世界最優秀パティシエも受賞されていて。それで話を聞きに行くことになりました。
早田:今までは味を重ねたりとか、テクスチャーを混ぜたりして、ケーキとしての提案が多かったのですが、この方はとてもシンプルな味の構成であったりとか、とてもシンプルだけど美味しいというような、変わったものを使ってってというより、さっきもお話があった引き算をして、シンプルなものでクオリティを出している。すごく参考になるといいますか。
エーデルワイスもそうですけれども、足して足して足して盛って盛ってというのが多いじゃないですか。そういうのも見栄えするのですが、この方は引いて引いて最終的にきれい。それは技術力が伴わないとできない。ごまかしがきかないです。
2.フランス・ベルギーの洋菓子のトレンド
早田:パブロバっていうのがメレンゲに生クリームを立てたもので、もともとオーストラリアやニュージーランドが発祥とされるお菓子らしいのですが、今フランスで流行っている感じがしました。
置山:あまり見たことないタイプというか、最近はちょっと多いですね。焼きメレンゲの土台に生クリームを絞ってフルーツを飾った感じです。
※Nina Métayer(ニーナ・メタイエ)
※Cédric Grolet(セドリック・グロレ)
早田:デザイン性が高いケーキが多かったのがちょっと印象的。
トレンドって変わるんですか?今だったらパブロバ、みたいな形で。
早田:そうですね。向こうはいまパブロバとチャンククッキーが流行っているようでした。
それはパリもベルギーもですか?
早田:ベルギーはあんまり見ないですね。何回か伺わせていただいた中で、昔はもっとマジパンベースだったりとか、そういうようなお菓子が多かったですけど、今回見た時は本当にガラッと変わって、フレッシュなものが多かったイメージ。そういう意味ではトレンドを意識した変化を感じますね。
※STOHRER(ストレー)
※KL Patisserie(ケーエル・パティスリー)
※Ritz Paris le Comptoir(リッツ・パリ・ル・コントワール)
※Bontemps(ボントン)
常に変わっていると。
早田今回は特にそれを感じました。もしかしたら日本を見て研究しているんじゃないのかなっていう。
置山:軽い、甘みの少ない。イメージとしてすっきりした感じです。
早田:重たいというかは軽い。
日本人も食べやすい?
早田:食べやすくなっています。古典的なものというより先進的な。
日本って韓国ブームであったり、それこそちょっと前はフランスパリブームだとかあるじゃないですか。そういう形でパリ自身もトレンドを探していたりするのでしょうか。
置山:探してるのか、作ってるのか(笑)
誰か一人がやりだして影響が出るんですかね?
早田:それはあると思います。
どこかの国で流行っているからと、それを真似して前面に打ち出しているというよりかは、そういうエッセンスを取り入れて新しいものを作ってみようというようなスタンスかなと。流行ばかりに引っ張られない国民性ということはありそうです。あと、やはり生み出したお菓子は食べやすかったり、おいしくなっていたりと、進化していますね。
ベルギーのブリュッセルとかでもそういう店はあったんですけど、ブルージュとか都心から離れると、昔ながらのショコラトリーが多かったりします。地域によってまだ差があります。
3.オフィシエ章叙勲記念「アグリューム」
2024年6月、社長の比屋根がベルギー王国より、「レオポルド勲章オフィシエ章」を受章いたしました。 これを記念して、期間限定で叙勲記念のケーキを販売していました。
早田:ベルギーヴィタメールで春ケーキとして「フリッソン・ダグリューム (Frisson d’agrumes)」というのが出ていまして、それを日本向けにアレンジしました。
※期間限定で販売した「アグリューム」
置山さんが担当されたんですよね。開発秘話って伺っても・・・?
置山:ベルギー研修中でも、他のスタッフは作っていましたが、実は僕は携わっていなくて。初日に食べさせてもらったんです。レシピなどはもらっていなかったので、記憶をたどりイメージをしながら、日本の原材料でもできるだけで再現度高く作れるようにしました。調整は難しかったですね。
食べさせてもらったのですが、結構ボリュームありますよね。フルーツが沢山乗っていて。いくつか候補があったのでしょうか?
置山:そうですね。僕も向こうで食べて、すごくフレッシュな味でおいしかったので、できるだけフレッシュなものをと思っていました。チョコレートをメインにしたケーキは普段から店頭にたくさん出ているので、何か違うものをと思っていまして。研修期間中に食べて大変印象に残っていたのでこちらにしました。
4.これから活かしていきたいこと、伝えていきたいこと
置山:僕は製造部でケーキの仕上げなどの工程を担当しているので 商品の開発に携わることはあまりないのですが、機会があれば、向こうで食べたフレッシュな素材の味を生かしたものっていうのを作っていきたいなと思います。
今回初めて行かせてもらって、行く前は言葉が通じない、とか思っていましたが、でも行ってしまえばそんなことなくて、むしろ行って良かったなって思えるので、自分が経験させて頂いたことを後輩たちに伝えていきたいなと思います。行ってみたら本当に楽しいよって。実際に行かないと分からないことってすごく多くあると思うので、ベルギー、フランスの空気感、それに触れる、触れないの違いはあると思っていて、触れたことによって自分の中で何か意識が変わるものというのはあると思う。その機会を会社が設けてくれていて、こうやって行ける会社は多くないのでそういう意味ではどんどん行ってほしいなと。
早田:フランスやベルギーなどのトレンドは、情報として少し遅れてから日本に入ってくると思いますが、やはり定期的に現地で実際に見て触れて持ち帰ってくるというのが必要かなと思います。
100%取り入れて、じゃあそれが日本で作れるかとか、売れるかというのは別問題だと思っていて、安全性が高いというのは日本のいいところだと思うので、海外を100%真似するというよりかは、引き出し、知識として置いておくと、何かあった時に引っ張り出せる容量が増えてくる。そういう意味では学ぶことが多かったですし、実際にヨーロッパに行かないと感じられないので、そのチャンスをもらえたことはありがたいです。
あとは日本の市場を見ながら徐々にBIOじゃないですが、変えられるものは変えていって、同業他社がやり始めた時に自分たちの知識がなくて遅れるということがないようにしておくべきだとは思います。
後輩に関して言えば、もちろんそのさっきの話で行ったら楽しい。最初大変かなって思っていましたが、でも実際行ってみたら、帰ってくるのが嫌って思えるぐらいは刺激が多かったので、そういう経験を後輩の子たちにもしてもらいたいなっていうのはすごく思っています。積極的になってほしいなっていうのもありますし、開発じゃないと商品作りができないわけではないですし。開発だから、製造だから、というよりかは包括的になってくれる人が出てきてくれたら嬉しい。
置山:どうしても目の前の業務や環境の中では考え方が固着してきやすいですが、若手パティシエたちはまた感性が違うので、そこを活かして新しいアイディアがどんどん出てきたり、そして僕たち自身を含め先輩側がそれを柔らかい頭で受け入れ、積極的にディスカッションできるようなチーム作りをもっとしていきたいと思います。
エーデルワイスでは毎年製造部、営業部より2名ずつを選出し、海外へ派遣しております。(立候補制)
本研修の目的は
・本場の技術と材料に触れる
・ヨーロッパの歴史やものづくりの伝統や文化を体験する
・提携先(WITTAMER)とのコミュニケーション
・制度の明確化と実施による従業員のモチベーション作り、会社の取り組み姿勢に魅力を感じる人材の獲得
としており、洋菓子・パンの本場ヨーロッパに職人を派遣し、技術研修や技術交流、また、文化や哲学を学ぶ機会を設け、世界中のトレンドや新たな表現に触れることで、未来を担う人材の育成を推進しています。