ガレット・デ・ロワの模様に込められた4つの意味を詳しく解説

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最近どんどん話題になることが増えてきた「ガレット・デ・ロワ」。おいしいのはもちろんですが、表面に施された美しい模様も特徴の一つです。実はこの模様にはさまざまな意味が込められていることをご存じでしょうか?

美しい外観とポジティブな意味が込められたガレット・デ・ロワは、自宅用にはもちろん、大切な人への手土産としても人気です。

今回はガレット・デ・ロワの基礎知識や、模様に込められた意味、お菓子の特徴、ピティヴィエとの違いについて解説します。

・ガレット・デ・ロワの模様には4つのモチーフがあり、それぞれ意味が異なる
・元々ガレット・デ・ロワはキリスト降誕を祝う行事で食べられるスイーツ
・ガレット・デ・ロワと似たピティヴィエは、バラをモチーフにした模様を入れ、一年通して食べられるところが特徴

1.ガレット・デ・ロワとは

ガレット・デ・ロワ

ガレット・デ・ロワ(Galette des Rois)とは、「王様のお菓子」という意味のフランス菓子で、新年のお祝いに欠かせない、フランスで昔から親しまれている伝統菓子の一つです。

フランスでは、キリスト教の旧典礼歴 1月6日にあたる公現祭(エピファニー)を祝うときに食べるのが古くからの習わしで、現地では新年を迎えると多くのスイーツ店やパン屋さんでガレット・デ・ロワが販売されます。現在では1月6日だけでなく、1月に家族や友人が集まる際には欠かせないお菓子となっていて、日本国内でもケーキ屋さんパン屋さん問わず取り扱うお店が増えています。

ガレット・デ・ロワのレシピや味、形状は地方によって差がありますが、クレームダマンド(Crème d‘amande)をパイ生地で包んだものが主流となっています。シンプルな焼き菓子ですが、ガレット・デ・ロワの魅力は何と言っても表面の飾り模様(レイエ)の美しさ!各店で工夫が凝らされています。

2.ガレット・デ・ロワの模様に込められた意味

ガレット・デ・ロワの表面の模様(レイエ)のモチーフは大きく分けて4つあります。
新年に食べられる焼き菓子としてもふさわしく、それぞれのモチーフに縁起の良い意味が込められています。ガレット・デ・ロワを購入した際には、その模様の意味もチェックしてみるのもより一層楽しめますね。

ここではガレット・デ・ロワの模様ごとに込められた意味を説明します。

太陽に込められた意味は「生命力」

生地の真ん中を中心に、放射状に描かれた渦巻きは太陽(le soleil)をモチーフにした模様となっています。万物を照らし、光と熱を供給する太陽は生命や富の源であることから、生命力という意味が込められています。

麦の穂に込められた意味は「豊穣」

矢羽根が縦方向に連なった模様は麦の穂(le ble)をモチーフにしたものです。麦の穂は豊穣の神々の持ち物であることから、五穀豊穣や生命を象徴するものという意味が込められています。

ひまわりに込められた意味は「栄光」

ガレット・デ・ロワの表面全体に施された格子状の模様はひまわり(le tournesol)をモチーフにしています。常に太陽の方を向くひまわりの様子が、救いを求めて神に祈りを捧げる人の姿に似ていることから、栄光や忠誠といった意味が込められています。

月桂樹に込められた意味は「勝利」

葉っぱの模様は月桂樹(le laurier)をモチーフにしたものです。古来より、太陽神アポロンの聖樹とされている月桂樹で作った冠は英雄や勝者に捧げるシンボルだったことから、ガレット・デ・ロワの月桂樹の模様には勝利の意味が込められています。

4つのモチーフの中で特に複雑なパターンで難易度も高いため、パティシエの技量が試される模様となっています。そのため、コンテストなどではこちらの模様で出品されることが多いです。

3.フランスの伝統菓子「ガレット・デ・ロワ」の特徴を紹介

フランスで昔から愛され続けているガレット・デ・ロワには、独特のデザインはもちろん、他のお菓子には見られない特徴がいくつかあります。

美しい模様(レイエ)が特徴的

ここまで紹介してきたとおり、ガレット・デ・ロワの表面には美しい飾り包丁による模様(レイエ)が施されます。

代表的なモチーフは前述した4つですが、同じモチーフでもナイフの入れ方によってデザインが大きく左右されます。独自のアレンジを加えていたりとどのお店も工夫を凝らしているので、ガレット・デ・ロワを購入するときはデザインにも注目してみるのも良いですね。

また、上記でも説明したとおり、模様ごとにさまざまな意味合いが込められているので、いまご自分が叶えたいことや、希望することを基準にしてデザインを選んでもいいかもしれません。

エピファニーを祝って食べるお菓子

エピファニー(公現祭)とは、東方の三博士がキリストの降誕を祝うためにやってきた日(1月6日)にちなんだ行事のことです。

フランスでは毎年1月6日または1月2日以降の最初の日曜日に行われるエピファニーを祝うためにガレット・デ・ロワを食べるのが慣習となっています。ガレット・デ・ロワを、家族や友人、職場のみんなで分け合って食べ、エピファニーをお祝いします。

現在では、1月6日に限らず1月中は美しいガレット・デ・ロワがブランジュリーやパティスリーの店頭を飾ります。1月のフランスではガレット・デ・ロワを何度も食べる機会に恵まれるそうですよ。

陶器で作った小さな人形「フェーヴ」

陶器で作った小さな人形「フェーヴ」が入っている

また、ガレット・デ・ロワには、ちょっとした趣向が凝らされているのもポイント。

ガレット・デ・ロワを購入すると、紙製の王冠が添えられてきます。また、ガレット・デ・ロワの中には「フェーヴ」(Fève)という小さな陶器が1つ隠されています。フランス語で「そら豆」を意味するフェーヴですが、現在は陶器で作られたものが主流となっています。元々ガレット・デ・ロワにはそら豆が使われていた名残から、今でもフェーヴと呼ばれているようです。
切り分けた際にフェーヴが入っているピースを引き当てた人は、王冠をかぶり、王様(または王妃様)として祝福を受け、その年1年を幸運に過ごせるといいます。新年の運だめしのような楽しさで親しまれているのです。

4.ガレット・デ・ロワとピティヴィエの違いは模様や食べる時期

ガレット・デ・ロワと同じフランスの伝統菓子の一つにピティヴィエというものがあります。ガレット・デ・ロワ同様、アーモンドクリームをパイ生地で包み、表面に模様を入れるところは共通しているので、両者はしばしば混同されがちです。

ですが、ガレット・デ・ロワの模様は太陽やひまわり、麦の穂、月桂樹など複数のモチーフを採用しているのに対し、ピティヴィエの模様はロザス(rosace)と呼ばれるバラの模様を表現しているという点に違いがあります。

また、食べる時期も異なり、ガレット・デ・ロワはエピファニーの時期(1月)に限定されているのに対し、ピティヴィエは一年通していつでも食べることができます。

このように、一見似ている2つのお菓子ですが、ガレット・デ・ロワとピティヴィエには明確な違いがあり、それぞれで楽しまれています。

5.エーデルワイスで展開しているガレット・デ・ロワたち

日本ではエピファニーを行う風習はありませんが、ガレット・デ・ロワ自体は多くのお店で販売されています。こちらの記事を読んで少しでも興味を持っていただけた方は、ぜひ新年を祝うスイーツとして楽しんでみてはいかがでしょうか?

エーデルワイスでは、ブルトンヌ、ル ビアン、ノワ・ドゥ・ブールの3ブランドにて、毎年ガレット・デ・ロワを販売しています。各ブランドともに、紙製の王冠と、陶器製のフェーブを別添してお渡しております。
こだわりの材料と製法で作られたガレット・デ・ロワを食べてみたいという方は、ぜひエーデルワイスのガレット・デ・ロワを試してみてくださいね。

ブルトンヌのガレットデロワ

ビスキュイテリエ ブルトンヌの「ガレット・デ・ロワ(王冠・フェーヴ付)」

ザクザクと香ばしいパイで、風味豊かなアーモンドクリームを包みました。バターの豊かな香りに、焼きたての美味しさが際立ちます。中にはフェーヴの代わりに一つだけグリオットチェリーを隠しました。王冠・フェーヴ付きで毎年、年始の初売りから1月の中頃まで各店舗で販売しています。

ルビアンのガレットデロワ

ブーランジュリー ル ビアンの「ガレット・デ・ロワ」

サクサク食感のパイ生地にアーモンドとヘーゼルナッツの風味豊かなアーモンドクリームを包んで焼き上げました。クリームにはラムとバニラを合わせることで、さらに香りが際立つ味わいに仕上げています。フェーヴの代わりとしてアーモンドを 1 粒入れております。ご家族やご友人と是非お楽しみください。毎年、年末から1月中頃まで販売しております。

ノワ・ドゥ・ブールのガレットデロワ

ノワ・ドゥ・ブールの「ガレット・デ・ロワ」

バターの香りを引き出したサクサクの逆折り込みパイ生地に、ラム酒が香るコクのあるアーモンドクリームを詰めて焼き上げた「ガレット・デ・ロワ」。フェーヴの代わりに、グリオットチェリーを1粒忍ばせました。毎年、年末から1月上旬頃まで販売しております。